か な ぐ や   の   け ん ち く
 


 2001年以降、当金具屋に対する質問としておそらく一番多いものが、

「あのアニメ映画の舞台になった旅館ですか?」
というものです。

テレビ地上波での放送もありますので、ここでその正確な情報について、「熱風」の講読者であり、「汗まみれ」のヘビーリスナーである私、九代目がまとめてみたいと思います。

金具屋斉月楼外観 
 
金具屋斉月楼1階廊下
まず、事実関係として。
映画の「制作の為」に監督やスタッフの方が取材にこられたということはありません。

そして、少なくともここ20年の間に、宮崎監督が宿泊に来られたこともないと思います。

ですが、公開年以降にあまりにも反響が大きかったために、スタジオに御礼がてら連絡をとったところ、スタッフのみなさんが当館のことをご存知でした。うれしかったですね。

(遊びに来てくださいとお伝えしたのですが、当時は「猫」で忙しくて・・・ということでした。いまだおまちしています)
宮崎監督の別荘が長野県富士見町にあり、さまざまな作品において信州との関係をみることができます。

また、音楽を担当している久石譲さんは、当館のある山ノ内町の隣、中野市出身の方で、非常に縁があるのです。

映画において「神様を風呂に入れる」というのも、長野県の南信濃・上村の霜月まつりをNHKの番組で宮崎監督が見て、それをモチーフにしたものなのです。

 
金具屋斉月楼階段

金具屋斉月楼3階廊下 
「身の回りのもの」から映画を作るという宮崎監督。

40年前に読んだ小説や、たまたま別荘にあった少女漫画雑誌の一話から長編映画をつくってしまう。
信州あたりはご自分の庭のように、各地をご存じであったというのは、十分考えられるのです。


さてあの映画には、実際にモデルの一つとして名前があがっているものがいくつかあります。
道後温泉や江戸たてもの園、目黒雅叙園など。当館はそこには含まれておりません。

実際に監督が訪れた四万温泉の積善館さんも有名ですが、そういったエピソードも当館にはありません。

ではなぜ、多くの方から「とても似ている」「モデルではないか」といわれるのでしょうか。

ここからは想像力を働かせて考えてみたいと思います。
 
 
金具屋斉月楼大屋根
 
金具屋エレベーター(平成4年改装)
まず当館の斉月楼が建った時代とはどんなものであったのか。

誰も見たことがないような豪華な旅館をつくろうと、当館六代目が宮大工と全国を行脚したのが昭和初め。

大正時代のデモクラシーとともに、明治に流入した西洋の文化と、それまでの伝統的な日本文化が融合し、鮮やかで華やかな、ある意味では庶民好みの派手で品のない、新しいものが出来上がったのがその時代なのです。

大正の終わりから昭和の初めにつくられたものというのは、工芸品であっても建築であっても、非常に特異なものであったといいます。(先述の目黒雅叙園も昭和初期に完成)

さて映画に登場する湯屋は女主人の性格を反映し、上品とは程遠い、けばけばしく派手でごてごてした建物となっています。

宮崎監督がこれを設計するにあたって、非常に独特であった昭和初期の旅館建築を参考にした・・・。

同じようにうちの六代目も、派手で豪華なものをつくるために昭和の初めに各地の観光旅館を見て回って参考にした・・・。

この両者のアプローチが非常に似たものであったこと。
ゆえに、完成したあの湯屋と当館の斉月楼が非常に似た雰囲気をもつものになったのではないかと思うのです。

 
金具屋大広間
 
金具屋鎌倉風呂入口
当館がモデルであるのかないのか。

これは監督の頭の中にしか答えはありません。

ただ、おそらくそこで想像し創造されたものと近いものが、当時の姿のまま、実際に泊れるものとして当館には残っている。

これが金具屋の一番の特徴であり、あの映画がお好きな方が当館をお楽しみいただける理由なのだと思います。


最後に、公開後当館だけでなく、古い木造の旅館が見直されたこと。あの映画を機に「価値あるもの」として評価されるようになったこと。これはいくら感謝してもしきれません。

当館も、これからもいつまでも、この当時の姿を残し続けていきたいと思っています。

以上が現時点での考察となります。
長文お付き合いいただきましてありがとうございました。

金具屋 九代目(予定) 西山和樹
 
金具屋浪漫風呂

 - さあ 不思議の世界へ -
金具屋 google ストリートビュー

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  個人的には金具屋の別館として昭和4年に建てられた「臨仙閣」もあやしいのではないかと思っています。名前にもリンやセンが入っているし・・・・(笑)。
 
 
臨仙閣は現在営業しておりません。渋温泉のイベントスペースとして(たまに)活用されております。  
  もうひとつ、金具屋の潜龍荘の庭には、龍神の祀られている祠があります。その名が「白龍大社」。これは鍛治職時代から祀っていた九頭龍と、近くにある源泉をおさめるための水神を兼ねたもののようです。毎月1日の「おついたち」には九つの卵をおそなえします。 


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